米海軍が迎撃ミサイルを含む前例のない規模の精密誘導兵器の大量調達に乗り出した。
計画は主力迎撃ミサイルSM-6やパトリオット(PAC-3 MSE)など、合計1000基超を確保するという内容だ。
これは中東での紛争などで消耗したミサイル在庫を急ぎ補充すると同時に、インド太平洋地域の防衛力を強化しようというトランプ政権の軍事強化方針を反映したものだ。
17日、防衛産業界や海外メディアによれば、米ホワイトハウスは今月3日(現地時間)に約2000兆ウォン(約192兆円)規模の国防予算案の概要を発表し、同5日には海軍力強化を柱とした詳細なファクトシートを追加公表してFY2027予算案の骨格を固めた。
とりわけFY2027案には、艦対空ミサイルを含む計1000基超の大規模誘導兵器調達計画が中核課題として盛り込まれた。
韓国内の業界が注目するのは、米国の生産能力の限界だ。
大量発注が見込まれるSM-6はRTX(旧レイセオン)が、PAC-3 MSEはロッキード・マーティンが製造するが、現在の米防衛産業の年間生産能力は迎撃ミサイルで約600基程度にすぎず、急増する需要に対応しきれない状況だ。
米国製ミサイルの在庫が枯渇し、製造速度が需要に追いつかない中で、堅実な生産能力を持つLIG D&Aや韓華エアロスペースが不足分を埋める「救援投手」として浮上している。
LIG D&Aの誘導ロケット「ビグン(Poniard)」は2024年7月に米海軍主催の試験(FCT)で6発すべて命中させ、性能検証を終え、現在は米海軍の購入リストに名を連ね最終契約を交渉中である。
契約が成立すれば、国産の誘導兵器完成品が米軍に納入される初の事例となる。
韓華グループも系列会社間のシナジーを打ち出し、米市場を攻めている。
防衛持株会社にあたる韓華エアロスペースがミサイル発射台やエンジン部品の技術を提供し、韓華システムと韓華オーシャンが買収した米国のフィリ造船所を現地の生産・整備拠点として活用する戦略だ。
これにより、艦船の維持・保守・整備(MRO)事業と誘導兵器供給を一体化する「統合ソリューション」が可能となり、米国内のサプライチェーンへの参入が加速している。
だが越えねばならない障壁も多い。
ロッキード・マーティンやRTXといった米本土の巨大企業とのサプライチェーン参入競争はもちろん、国家間の受注争いも激化すると業界は説明する。
艦船MRO分野ではシンガポールのSTエンジニアリングが長年にわたり米海軍と築いてきた信頼を背景に韓国の造船所を脅かしている。
日本の三菱重工業もミサイルの共同生産や核心部品供給のパートナーとして、米海軍の「最優先協力国」ポジションを巡って韓国と激突する公算が大きい。
米製部品の使用を義務づける米国優先購入法(BAA)や、未だ締結に至っていない韓米防産相互調達協定(RDP-A)なども障害として指摘されている。
LIG D&Aはニッチな兵器システムの開発や米国法人設立を通じ、制度的障壁下でも市場参入路を広げている。
韓華も米造船所の買収を通じ現地生産体制を構築し、規制回避を図っている。
K-防衛産業の成否を左右するのは、現地時間21日に公開される米国防総省の詳細予算内訳(Justification Books)だという見方が出ている。
実戦配備を目的とした調達項目に韓国製の兵器システム名が明記されるかどうかが鍵になる。
ただし最終受注までには米議会のハードルや自国優先主義といった追加の変数が残されており、慎重に見守る必要があるとの声もある。
韓国内の防衛産業関係者は「予算の詳細内訳に我が国の兵器が研究用途ではなく実際の調達セクションに明確に反映されて初めて、パートナーに選ばれたことの証明になる」と説明する。
同関係者はまた「兵器在庫の限界を経験した米国は、今後自国の主要企業や海軍との結束を固めると同時に、韓国などの軍事協力国との協業を強める方向に舵を切る可能性が高い」と指摘する。
別の関係者は「米国は国防総省と巨大防衛企業、議会が緊密に結束した軍事複合体社会であるため、実際の参入障壁は予想以上に高いかもしれない」と述べている。