
米情報当局、イラン「スリーパーセル」作戦の信号疑い通信を捕捉
米国とイスラエルがイランと軍事衝突を続ける中、イラン側が西側諸国に潜伏する要員を動かす可能性が指摘されている。米情報当局がイラン発とみられる暗号化通信を捕捉し、西側の警戒レベルが上がっている。
ABCニュースは現地時間9日、米政府が該当通信を分析したうえで司法当局に引き渡したと報じた。米側は、このメッセージが海外にいる潜伏要員に作戦開始の合図を送るものだとみて状況を注視している。

ハメネイ排除直後に多国間で送信された暗号通信
報道によれば、問題の暗号化通信は、イラン最高指導者アリー・ハメネイがイスラエルの空爆で排除された直後に複数の国に向けて送信されたという。通信は暗号化されており、特定の暗号鍵を持つ受信者だけが解読できる方式だった。

米情報当局は、この通信がイラン国外に潜伏する要員を活性化させるか、指示を伝達する目的の可能性を検討している。ただし、現時点で実際の攻撃計画や具体的な作戦が確認された段階には至っていないとの見方が示されている。

一般市民として暮らす「スリーパーセル」
こうした潜伏要員は一般に「スリーパーセル」と呼ばれる。普段は学生やビジネスマン、移民などの一般市民として生活し、特定の命令が下されると活動を開始する秘密組織や工作員を指す。
スリーパーセルは数年から数十年にわたり潜伏し、情報収集や破壊工作、テロ、暗殺といった任務を遂行することが特徴だ。インターネットや携帯電話を介さずとも暗号化された手段で指示が届くため、発見が難しい。

9・11以降の潜伏組織警戒強化
スリーパーセルに対する警戒は9・11テロ以降、大幅に強化された。事件を主導したアルカイダは、英語に堪能で西側社会に溶け込める19人の要員を米国内に潜入させ、数年にわたる準備の末に大規模テロを実行した。
その中には米国の飛行学校で操縦訓練を受け、資格証を取得した者も含まれていたが、連邦捜査局(FBI)の事前対応は十分でなかったと評されている。
以後も欧州では潜伏組織が関与した事件が相次いだ。2015年のベルギー・ブリュッセルテロや2016年のドイツでの自爆攻撃は、長期潜伏した組織によって実行された代表例とされる。

西側諸国の緊張高まる…テロの可能性を警戒
イランへの空爆以降、西側諸国は潜伏組織の動きに警戒を強めている。イランの高位聖職者ナセル・マカレム・シラジが米国とイスラエルに対する報復を強調する宗教的解釈を示し、緊張が高まった。
元FBI副長官クリス・スウェッカーは米メディアのインタビューで、「ヒズボラやハマスが米国内で行動に出る可能性があるとすれば、まさに今がその時かもしれない」と分析した。
実際、最近では米テキサス州オースティンで銃撃事件が発生し死者が出たほか、カナダ・トロントのユダヤ教会堂で銃弾の痕跡が見つかるなど、西側各地で警備が強化されている。
米政府は潜伏組織の活動可能性を注視している。ドナルド・トランプ大統領は関連の質問に対し、「我々は状況を非常に注意深く観察しており、この件に関する正確な情報を持っている」と述べた。