ミストラル拒否·イーグラ部品導入…神弓の出発点
神弓の開発は1995年、国防科学研究所(ADD)が携帯型対空ミサイルの国産化を目指して事業を始めたことをきっかけに本格化した。当時、韓国はフランスのミストラルの技術移転を探ったが、フランス政府が核心技術の移転を拒否し、計画は頓挫した。
代案として、ロシアKBM社から9K38イーグラ(SA-18)用の2色赤外線シーカー、振動ベアリング、冷却器などの核心部品を「部品購入」形式で確保することに成功した。ADDとLIGネクスワンが合わせて約700億ウォンを投じ、2000年代初頭に試作機を完成させた。外観やエンジン配置、発射管構造などにイーグラと似た点が多いのはこのためである。
「われわれの技術を使っただろう」というロシアの主張、どこまで事実か
イーグラの部品を流用した初期型神弓は、設計思想の面で明らかにロシア製MANPADSの影響を受けていた。そのためロシア側は「神弓はイーグラを基にした派生型で、我々が供給した技術が基盤になっている」と主張してきた。
だが韓国側は、米国のスティンガーやジャベリンの運用経験と自国内の研究成果を反映し、射程を7kmへ延伸、近接信管や2色シーカー、電子戦対策アルゴリズムを独自に設計することで、イーグラ(射程5km)とは別体系の兵器へと仕立て直したと主張する。出発点にロシア部品があったのは事実だが、完成品は設計、探知器、信管、誘導ロジックの多くが変更され、「韓国型の新型兵器」に近いというのが韓国側の論旨である。
輸出のたびに「同意しない」と…ロシアの制動戦略
問題が顕在化したのは、神弓が本格的に海外輸出の段階に入ってからだ。初期型は探知器や振動ベアリングなど一部の核心部品をKBMから調達して組み立てる構成だったため、インドやUAEなど大型輸出案件のたびにロシア政府の輸出承認(再輸出同意)が必要になった。
インド軍が神弓を次世代MANPADS候補に選んだ際、ロシアは「自国のパンチールやイーグラの輸出に直接的な打撃を与える」として技術移転承認を拒否し、事業は最終段階で頓挫した。UAEでも同様にロシアの制動が働き、LIGネクスワンは「性能評価で1位に選ばれたにもかかわらず、ロシアの承認拒否で落選した」という痛い経験を味わった。
「ロシア依存の脆弱性」批判が促した決断、2色シーカーの国産化
海外メディアや防衛産業の専門家の間では、「韓国の兵器がロシアの核心部品に縛られて輸出主権が制約されている」という批判が出た。そこでLIGネクスワンは2009〜2014年に自社資金で140億ウォンを投じ(累積投資は400億ウォン超とする分析もある)、ロシア依存度が最も高かった2色赤外線シーカーの独自開発に踏み切った。
近・中赤外線帯を同時に検知するこの国産シーカーは、ミストラル級の探知能力とIRフレア対策能力を獲得し、ヘリコプターやドローン、低高度機の迎撃で高い効果を示した。2014年の国防技術品質院による射撃試験で95%の命中率を記録して品質認証を得た後、神弓は国産化率90%以上となり、ロシアの承認なしでも自由に輸出可能な体系へと生まれ変わった。
武器の世界\">
世界トップ級の性能に上り詰めると、ロシアのフレーム戦争が始まった
国産シーカーと近接信管を備えた最新型神弓は、射程7km、迎撃高度3.5km、命中率90〜95%と評価され、米国のスティンガー(射程約4.8km)やロシアのイーグラ(5km)より一世代先を行く性能と見なされている。ポーランドやマレーシアへの輸出に成功し、ウクライナ戦争ではポーランド軍が導入した神弓がロシアのKa-52やMi-28攻撃ヘリを撃墜したと伝えられ、ゼレンスキー大統領が韓国製対空ミサイルの追加導入を望んだとの言及まで出た。
冷却器を必要としない2色シーカーと、極低温環境でも動作する信頼性が評価され、ロシアのジャマーやフレアに強い点が浮き彫りになったことで、ロシア側は自国のイーグラやパンチールが市場で後退する懸念を強めた。この段階からロシアの国営メディアや関係者は「神弓はロシア技術を基に作られた武器だ」と主張し、韓国を標的にした世論戦や法的問題提起の可能性を示唆している。
今は「ロシアの承認は不要」…残るのはフレームだけ
重要なのは、ロシアがいくら「我々の技術が基盤だ」と主張しても、現在運用中の神弓の核心探知器、誘導ロジック、近接信管は既に韓国独自の技術に置き換わっている点である。国防科学研究所とLIGネクスワンは国産シーカー装着以降、ロシア部品依存度を5〜10%程度まで下げ、事実上は単純な素材や機械部品程度しか海外に依存していない構成へと転換したと評価されている。
その結果、かつてのようにインドやUAE、欧州、東南アジアへの輸出のたびにロシアの顔色をうかがう必要はなくなり、LIGネクスワンは射程8km級の性能向上型「神弓-B」や、車両・艦艇搭載型の自動発射台まで開発を進めて独自の製品群を拡充している。ロシアが依然として「韓国が我々の技術を盗んだ」と声を上げる理由は、実質的な技術所有権の問題というより、世界のMANPADS市場で韓国の神弓が自国兵器の最も強力な競争相手になったためだという分析が有力である。