韓国社会では、北朝鮮を従来の名称「北朝鮮」と呼ぶか、公式国号の「朝鮮」と呼ぶかを巡る論争が、安全保障の枠組みへと広がっている。
最近、外信は先月1日付の報道で、この論争が単なる表現の違いを超え、韓国憲法の領土規定や平和共存路線、さらには統一観に結びつく複雑な問題だと指摘した。
どの言葉を選ぶかで国家安全保障の大前提が揺らぐ可能性があると指摘され、論争は一層激しくなっている。
「憲法3条が危うくなる」…言葉一つで交差する統一観
名称論争の根底には、韓国憲法第3条がある。
憲法第3条には「大韓民国の領土は半島とその付属島嶼とする」と明記され、北朝鮮地域も大韓民国の領土として規定されている。
進歩陣営の一部は、北朝鮮を「朝鮮」と呼ぶことが相互の実体を認め、平和共存への言語的出発点になると主張している。
しかし保守陣営や安全保障の専門家はまったく異なる見方を示す。北朝鮮を独立国家「朝鮮」として公式に認めれば、憲法上、反国家団体が不法占拠している我が領土という法的地位が否定されかねない、と懸念している。
それは結局、北朝鮮を完全な他国として認めることになり、最終的には憲法の領土規定を修正しなければならない事態を招く可能性があると指摘されている。
揺らぐ「主敵」概念、軍事対備態勢への波及に警戒
名称変更の議論が現実化すれば、最も直接的な影響を受けるのは軍の安全保障と対備態勢だ。
北朝鮮を正規の外国と扱えば、国防白書などに記載されてきた「主敵」や「明白な敵」といった概念的根拠が弱まる可能性がある。
従来は、反国家団体の武力挑発に対して憲法的な保護という観点から、即時かつ強力な軍事対応が正当化されてきた。
しかし北朝鮮が別の国家と規定されれば、局地戦や武力挑発が発生した際に国際法上の国家間紛争に発展し、我が国の独自の軍事対応ルールに混乱が生じかねないと懸念されている。
また軍内の精神戦力教育や対敵観の確立においても、相当な混乱は避けられないと見られている。
言葉一つの変化が、大韓民国の70年にわたる安全保障の地形や軍の存在意義そのものに構造的な波及をもたらす可能性があると分析されている理由だ。