本欄はすでにサムスンの営業利益を社会全体の革新につなげる分配案を提示した(4月30日付「サムスンの営業利益、社会全体の革新に」)。11〜12日に中央労働委員会が主催してサムスンの労使対話が再開されたが、従来の議論の枠を超えられていない。ここで一歩踏み込み、この問題を扱う社会的議論を提起すべきだ。
サムスンの成果はサムスンだけのものではない。国家の産業政策や社会インフラ、多数の協力企業と労働者の貢献が重なって生まれた結果だ。半導体産業は国家戦略産業に指定され、巨額の税制優遇や研究開発支援を受けてきた。危機のたびに金融界や政府の構造調整政策がサムスンの再生を支えてきた。ならば、予想外の超過利益はサムスンが韓国社会から受けた恩恵に応える形で活用されるべきだ。社内の分配率調整にとどまらず、社会貢献やイノベーション基金、協力企業支援などへと議論を広げる必要がある。
成果給の分配は本来、労使の自律的交渉領域だが、今は天文学的な超過利益が発生し、労使の枠を超えた国民的関心事になっている。企業内の慣行だけでは説明も解決もできない論点が少なくない。何より今回の「サプライズ成果」はサムスンの革新力だけで得られたものではない。
社会的議論を誰が主導すべきかは簡単に答えられない。しかし、市民社会とメディアが議論を先導することが望ましい。企業の成果を社会全体につなげる構造をつくるには、公的主体が対話の場を用意する必要がある。メディアは問題を公論化し、社会的合意を促す役割を担い、市民社会は多様な利害を代弁して均衡を図る役割を果たす。サムスンの労使がこの議論に参加すれば、議論の意義はさらに深まるだろう。
サムスンが成果給の扱いで模範的な先例を示せば、ブランド価値は高まり、グローバルなトップ企業としての地位が一層確かなものになる。社会的対話の中で望ましい分配方法を模索するだけでも、韓国は一段と前進できるはずだ。