ホワイトハウスがアンソロピックの大型AIモデル「ミソス」へのアクセス拡大計画にブレーキをかけたことが分かった。
30日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナルは、アンソロピックが最近、70社超の企業・機関にミソスへのアクセス権を追加付与する案を政府と協議していたと報じた。これにより、従来の約50社から合計約120社へ拡大する計画だったという。
だが米政府はセキュリティ上の懸念を理由に反対の姿勢を示したとされる。特に一部の当局者は、アンソロピックが必要なコンピューティング資源を十分に確保できなければ、政府側での活用にも支障が生じ得ると指摘した。ミソスは他のモデルよりも桁違いに多くの計算資源を要するとされるためだ。
ミソスはソフトウェアの脆弱性を発見し、それを悪用し得る能力があると評価され、ここ数週間で政府機関や企業の間に大きな懸念が広がっている。こうした性質から、ホワイトハウスは国家安全保障の観点で配布プロセスに深く関与している。
表向きは安全保障や技術的な問題が理由とされているが、その裏にはホワイトハウスとアンソロピックの緊張関係が続いているとの見方もある。
トランプ政権はかつて国防総省とのAI利用を巡る対立を理由にアンソロピックとの関係断絶を図った経緯があり、関連の争いは現在2件の訴訟に発展している。また、アンソロピックがAI規制を支持する団体と関係を持つ点や、バイデン政権出身者が同社に多数在籍している点も批判の対象になっている。
最近では、アンソロピック出身の元研究員コリン・バーンズがAIモデルを評価する政府機関の責任者に就く予定だったが、政権は突然方針を転換して別の人物を任命したと伝えられている。
現在、ミソスは主要インフラを運営する一部の企業・機関や限定的な政府機関にのみ提供されており、一般公開の予定はない。こうした中、ホワイトハウスは政府内でのテスト対象を拡大する案を検討している。
この報道に対し、アンソロピックは政府との協議が建設的に進んでおり、コンピューティング資源の不足は問題ではないと主張した。しかし、同社は最近計算資源不足に直面していると報じられており、主要企業との提携でインフラを拡充しているものの、実運用までには時間を要する状況だ。
同時に、ミソスへの不正アクセスの可能性を巡る調査が公になったことで懸念は一段と高まっている。業界内には、この種の高性能AIがソフトウェアのバグを大量に発見し、それを悪用可能にすることでサイバー攻撃のハードルを下げかねないとの指摘がある。
we're starting rollout of GPT-5.5-Cyber, a frontier cybersecurity model, to critical cyber defenders in the next few days.
— Sam Altman (@sama) April 30, 2026
we will work with the entire ecosystem and the government to figure out trusted access for cyber; we want to rapidly help secure companies/infrastructure.
こうした中、オープンAIは同日、ミソスに類似した「GPT-5.5-サイバー」を数日内に主要なサイバー防御担当者に配布し始めると発表した。現在、オープンAIの公式サイトでアクセス申請を受け付けている。
専門家は、アンソロピックと政府の対立が長期化すれば、サイバーセキュリティ対応に悪影響を及ぼす恐れがあると警告する。トランプ政権でAI顧問を務めたディーン・ボールは「両者が協力しないのは非効率で、特にサイバーセキュリティのような重要分野では協調が不可欠だ」と指摘した。
パク・チャン記者 cpark@aitimes.com