韓国企業での年収誤表記、何が起きたのか?

パク・チャンウク | 2026.04.23

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▲ 朴昌旭(パク・チャンウク)大宇世界経営研究会 常勤副会長
▲ 朴昌旭(パク・チャンウク)大宇世界経営研究会 常勤副会長

数日前、事務所で「あっ」と声が上がった。グローバルな若手人材育成プログラム、いわゆる「キム・ウジュン士官学校(GYBM)」の研修生募集用の広報物を印刷したあとで見つかったミスが原因だった。大卒者が東南アジアの現地韓国企業に就職した際の新入社員平均年俸が「4万5000ドル」ではなく「4500万ウォン」と表記されていたのだ。為替を1ドル=1500ウォンとすると、本来は6750万ウォンに相当し、韓国の若者にとって非常に魅力的な条件のはずが、誤って2000万ウォン以上も低く表示してしまっていた。

過去3年分の広報物を遡ると、同じミスが繰り返されていた。しかし不思議なことに、その誤表記がかえって話題を呼んだ。「この年俸はドル表記かウォン表記か?」という疑問がティーザーのように作用したのだ。ちょっとした不注意が思わぬ宣伝効果につながったものの、胸中はやはり赤面する思いで満たされた。

そのときふと頭に浮かんだ理論がある。シグナル検出理論(Signal Detection Theory)だ。レーダー運用に端を発するこの概念は、多数の信号の中で本物の標的を見逃さないためには「確実に信号があるはずだ」という前提が必要だとする。油断すれば信号をノイズとして見過ごしてしまう。医療現場も同様で、同じX線写真でも「異常があるはずだ」と信じて精査する医師の方がより多くの病変を発見するという研究がある。探そうとする意志があってこそ信号は見えてくる。

似た経験は40年前、仁川の沿岸部隊で兵役に就いていた時にもあった。小隊長を経て人事将校と兵站将校を兼務し、人と装備を整えるのが日常業務だった。私はいつも自分に言い聞かせていた。「必ず何かがある」と。緊張の糸を緩めないときにこそ実際に問題が見つかった。哨所交代中の転落死、訓練場での炊事事故、休息中の兵士を襲ったバス事故など、死の淵をさまよった体験を含む事故を目の当たりにし、「防御的警戒心」が身に付いた。この経験はその後、運転時や歩行時に常に周囲を確認する「防御運転」となり、社会生活全般における「防御的な暮らし」へとつながった。

近ごろは大きな事故が相次いでいる。その多くはヒューマンエラーだ。人は感覚が鈍くなり、機械やシステムは老朽化するという逆説が生じている。最先端技術がすべてを防いでくれるという幻想も一因だ。産業現場の老朽化や外国人労働者の比重増など、注意すべき変数は増えている。「これまで問題がなかったから」という安堵が放置を生み、その放置が大事故の前触れになる。もはや集中力と警戒心を個人の意思だけに頼ることはできない。

ここで必要なのがナッジ(Nudge)理論だ。肘でそっと突くような無意識の刺激で適切な行動を誘導する仕組みである。例えば週に3日だけ服用する薬は抜けやすいが、毎日服用する薬の袋を作り、服用しない日には偽薬を入れておけば服用率は劇的に上がる。強制せずに習慣を作るという考え方だ。

この原理を社会や産業現場に応用すべきだ。シグナル検出理論に基づいて毎日現場を点検し、「異常がなくても『異常なし』と記録すること」自体をシステム化する。デジタル化を活用すればコストは抑えられる。特に外国人労働者が母国語で気軽に危険要素を報告でき、そのデータが韓国語に自動変換されて管理者に届く仕組みは「言語の壁を越えるナッジ」となるだろう。現場の韓国人労働者も新人時代の初心に立ち返り、ともに行動して外国人労働者の模範となることが望ましい。

安全はスローガンではなく、日々の習慣から生まれる。防御運転のように、防御的な暮らしのように、常に目を光らせた構造化されたシステムの中でこそ、適切な予防が可能になるのである。

/朴昌旭 大宇世界経営研究会 常勤副会長