「驚愕!政治スキャンダルから始まる記者たちの人間ドラマ」

キム・ダニエル | 2026.03.26

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【文化面】
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ソウル市劇団長に就任後、イ・ジュヌ演出が初めて上演する演劇「ビッグ・マザー」(写真提供=セジョン文化会館)。人工知能(AI)、アルゴリズム、ディープフェイク、ビッグデータなどの急速な技術進化は、陰謀論や捏造情報、フェイクニュースの氾濫を招いている。

多数の嘘の中に一つの真実を差し挟むだけで真偽がひっくり返る時代に、ジャーナリズムの役割を問い直す演劇「ビッグ・マザー」(3月30日〜4月25日、世宗文化会館Mシアター)が開幕する。

情報が溢れる時代、何を信じ、どの基準で真実を判定するのかを問い直すこの作品は、最年少でソウル市劇団長に就いたイ・ジュヌの演出作だ。団長就任後にイ・ジュヌが初めて披露する本作は、フランスの作家ムレ・メロディ(Mourey Melody)の戯曲を基にしている。

物語は、政治・メディア・ビッグデータが結託した巨大権力の陰謀を暴こうとする「ニューヨーク探査」記者たちの話で、米大統領選を控えた米国で現職大統領の性スキャンダル映像が公開される出来事から始まる。

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極度の社会混乱のなか、映像の真偽を追ううちに、ニューヨーク探査の記者たちは目に見えない「操作システム」の存在に行き当たる。政治家の性スキャンダルから始まり、やがて巨大なシステムとの対立へと発展する筋立ては、現代社会が抱える問題群を映し出す。

現実の反映、代案の提示、ひねり、風刺——同時代を扱う手法は多様だ。ジャーナリズムやメディア産業だけでなく、人類や世界を変える題材を扱う本作について、イ・ジュヌは「単に『これが問題だ、こうしよう』といった単純な結論にはしない」と語る。

「むしろそれを背景に、資本の論理やデータ独裁、あるいは個人的な家族関係によって道を見失った記者たちが、それぞれ試練を経て本来の任務へ回帰する姿を描いている」と説明している。

演出の言葉どおり、ビッグデータ時代の世論操作の問題を徹底的に掘り下げるより、周囲にいる4人の記者に降りかかる個人的な物語が中心をなす構成だ。

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かつて伝説的な記者だったが、編集長として現実と妥協しながら生きるオーウェン・グリーン(ユ・ソンジュ/チョ・ハンチョル)は、仕事に没頭するあまり家族を顧みず、娘との軋轢に悩む人物として描かれる。

オーウェン役のチョ・ヒョンチョルは「場合によっては筋が通らないほど右往左往する場面もある」と語り、「同時に『人は皆そういうものだ』という感覚も湧く」と述べた。

「現実でもフェイクニュースや誤情報に惑わされる現象が社会問題になっている。劇中、オーウェンが娘を説得する場面があり、一見ありふれた話に見えるかもしれないが、現代において改めて自分たちを省みる必要がある重要な瞬間だと感じる。」

こうして「ビッグ・マザー」はオーウェン・グリーンをはじめ、多様な記者たちが物語の中心を担う。オーウェンの協力者であるケイト・ブラックウェル(チェ・ナラ)は、政治的イシューより気候変動報告の方が重大だと指摘し、スキャンダルの背後で権力と世論がどの方向へ動くかを見抜く記者として描かれる。

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また、過去の傷を抱え冷笑的になり仕事に没頭する若い記者ジュリア・ロビンソン(シン・ユンジ)、社長である父の“コネ”という汚名を晴らすため野心を剥き出しにするアレックス・クック(キム・セファン/イ・カンウク)らが、元は大統領の性スキャンダルから始まった物語に人間関係のドラマ性を付与する。

オーウェン役のユ・ソンジュは劇中の「記者を殺しても物語は残る」という台詞に触れ、「物語が最後まで届く力はそこから生まれる」と語った。

イ・ジュヌはタイトルについて、「『ビッグ・マザー』は強権的な統制や独裁を指す(ジョージ・オーウェルの『1984』に登場する)『ビッグ・ブラザー』とは異なる概念だ」と説明し、「大きな母のような安心感や包容のもとで我々の情報が利用され、思考が変えられていくという比喩的な側面を持つ作品だ」と紹介した。

「この作品は非常に硬直した真面目さを押し出すのではなく、むしろユーモアと軽さで風刺的に悲劇を生み出す。だから理解しにくいものではないはずだ。ビッグデータ時代の情報がどのように操作され権力化されうるかを描き、我々が無自覚にアルゴリズムに従い居心地よさに馴染んでいく環境を一度見直す価値があると考えている。」

ホ・ミソン 記者 hurlkie@viva2080.com