" />引っ越しの用事で不動産仲介業者に出入りする機会が増えた。不動産仲介業者は嘆く。「最近、不動産の売買はほとんどない。市場がすっかり凍りついている」。仲介する物件がないということは、生計の危機に直結する。だからこそ、イ・ジェミョン大統領への不満が噴出するのも止められない。だがこうも付け加える。「方向性は間違っていない。供給を増やし需要を抑え、多数保有者に対する譲渡税・保有税の強化を強く押し進めている。うまくいけば市場は安定するはずだ。そうなれば成功した大統領ではないか」。住宅価格が下がるという期待が、売買をますます手控えさせている。しばらくの間、不動産仲介業者の苦境は続くだろうが、無住宅者には市場が変化しているという手応えが伝わっている。
最近、韓国経済でもう一つ目立つ変化が資本市場だ。コスピ指数が5000ポイントを超え、不動産に回っていた資金が株式市場に留まり始めた。流動性が動かない資産から動く資産へと選択を変えたのだ。資金が流れ続けなければ経済は回らない。不動産政策と資本市場政策がかみ合って動いている。家計の長年の資産形成の構造が変わりつつある様相だ。
イ・ジェミョン大統領はタウンホールミーティングや現場訪問を通じて国民と直接対話するスタイルを好む。国務会議も生中継されるようになった。大統領の発言や質問に、省庁の長・次官が戸惑い、的外れな答弁が出ることもある。そのたびに「浮ついた議論はするな」や「再検討せよ」と応じる。公職社会が緊張すればするほど、国民は安堵感を覚える。既存の政治とは異なる文法だ。最初の生中継が行われた昨年7月30日の国務会議のテーマは重大災害根絶策だった。
イ大統領はフィリピンの国賓訪問で、韓国で働いて右腕を失い強制退去させられたアリエル・ガラック氏と面会した。自伝によれば、弁護士時代のイ氏はガラック氏の産災療養承認を得るため、労働部や公団、出入国管理事務所という頑強な壁と闘った。「前例がない」として拒否されていた案件を、あらゆる資料や証拠、法理、国際労働機関の勧告まで動員して最終的に覆した。ガラック氏は既にフィリピンに戻っていたが、産災補償金を受け取れるようになった。1年余の再審手続きが進行していたにもかかわらず、弁護士のイ・ジェミョンは報酬を受け取らなかった。イ・ジェミョン流の政治の原点がどこにあるかを示す事例だ。
成南市長時代には市民の生活を改善し、京畿道知事時代には道民の生活を改善し、大統領になってからは国民の生活を改善すると同時に、国家が安定のもとで変化・発展するようにすることが大統領の責務だという認識を持っている。イ・ジェミョン流の政治は、政治家としての外形よりも行政官として権限と責任を果たすことが十分だと考える点にある。国民の暮らし、民生を守ることが政治の本義だという自覚も強い。
昨年、世界政治学会ソウル総会の開幕演説でイ大統領は、民主主義が人々の生活を支えるという事実を証明しなければならないと語った。「民主主義が最も合理的で効率的な政治体制であることを絶えず証明しなければならない」と述べ、「そうでなければ、成長の仮面をかぶった反民主勢力が不平等と貧困の隙を突いて我々の民主主義を破壊するのを防げない」と警告した。
イ・ジェミョン政権はイデオロギーにとらわれず、国民の暮らしを変える実事求是の態度を貫いている。イ大統領にとって、5年の単独任期という条件は最後の公職者としての務めを燃やす燃料になっている。
憲政史上、初めて4年後に成功した大統領の姿が見られるかもしれない。だからこそ、成功への欲望は冷静に捨てるべきだ。現在の国政運営が任期末まで着実に続き、その結果として成功した大統領と評価されるとき、国も変わり、国民の生活も変わるだろう。
/ブ・ソンヒョン(前毎日労働ニュース代表)