ドナルド・トランプ米大統領が、イランへの戦争協力に事実上応じなかった国々を対象に実質的な不利益を与える措置に踏み切った。欧州連合(EU)に対する関税を再引き上げ、駐留米軍の兵力を削減するというトランプ氏の措置が韓国にも適用されれば、安全保障と通商の両面で致命的な打撃になりかねないとの懸念が広がっている。
◆やっと下げた関税、支援要請拒否で再び25%…安全保障と通商に同時打撃
トランプ氏は1日(現地時間)、トゥルースソーシャルで来週からEU産の乗用車とトラックに対する関税を25%に引き上げると発表した。
トランプ氏は投稿で、EUが「我々が完全に合意した貿易合意」を遵守していないという事実を根拠に、来週米国に入ってくる乗用車とトラックに対するEU向けの関税を引き上げると述べた。
これに先立ち、米国とEUは昨年7月に貿易交渉を妥結させ、車両などへの関税率を25%から15%に引き下げることで合意していた。それにもかかわらずトランプ氏が関税再引き上げのカードを切ったのは、EUやNATO(北大西洋条約機構)がイランへの戦争支援を求める米側の要請をほとんど拒否したことへの報復だと受け止められている。
実際、トランプ氏はNATO主要加盟国の欧州諸国にホルムズ海峡への軍艦派遣などを繰り返し促したが、受け入れられず公然と不満を示してきた。
これに対し、フリードリヒ・メルツ独首相は「アメリカは明らかに何の戦略もなくイラン戦争に飛び込んだ」と批判し、「アメリカ全体がイランに屈辱を受けている」と述べた。
するとトランプ氏は、ドイツに駐留する米軍の兵力を削減することを決定した。
CNN・ロイター通信・ワシントンポストなど米現地メディアによれば、トランプ政権はドイツ駐留の米軍を約5千人削減する案を検討中で、これは現在の駐留規模の約14%に相当する。
これに関連し、米国防総省は今回の決定は欧州内の米軍配置状況に対する国防総省の徹底的な検討の結果だと説明したが、現地メディアは匿名の国防総省関係者の説明を添えて、これも報復措置の一環だと分析している。
CBSは、国防総省関係者は(兵力削減が)欧州同盟国がイラン戦争で提供した支援水準に対するトランプ氏の不満を示していると解釈したと報じた。
ニューヨークタイムズは、国防総省の高官が非公式に今回の措置を、最近の発言でトランプ氏の機嫌を損ねたドイツに対する処罰として見せたいと明言したと伝えた。
◆韓・日も射程内か? トランプ氏が「韓国も我々を助けなかった」と公開非難
今回トランプ氏が取った措置が他国にも拡大する可能性が残る。トランプ政権はドイツに加え、スペインやイタリアに駐留する米軍の削減も検討していると伝えられる。
また、NATOと同様に米国と緊密な関係を維持する同盟国の韓国、日本、オーストラリアも、同様の「報復パッケージ」を受ける可能性が指摘されている。これらの国も米国の要請に積極的に応じてこなかった。
特にトランプ氏は公の場で韓国を何度も言及し、圧力の度合いを高めてきた。
トランプ氏は先月6日のホワイトハウス記者会見でNATOを非難する中、「韓国も我々を助けなかった。我々は険しい地域に4万5千人の兵力を置いており、核兵器を多く保有する金正恩のすぐ隣にいる」と指摘した。
実際の駐韓米軍の規模は約2万8500人だが、トランプ氏が兵力をこのように誇張して言及したのは強い不満を示しているとの解釈が出ている。
さらに不安が増すのは、トランプ氏が過激な交渉手法を一度示した前例があるためだ。トランプ氏は関税交渉の後、韓国が対米投資の具体的実行手続きを踏まないとして、今年1月に関税再引き上げ(25%)を突如発表した。
これは韓国政府が再び説得に乗り出し、米連邦最高裁の関連判決が続いたことで一旦落ち着いた。しかしこの事例は、トランプ氏の繰り返す要求に反応しない場合、外交的に大きな変数が生じ得ることを示す例として残るだろう。
特に韓国が安全保障・通商のかなりの部分を米国に依存している点を考えれば、こうした措置が現実化すれば重大な国家的危機に直面する可能性があるという分析がある。
ただし韓国政府は、これまでこうした圧力が実際に提示されたことはないとする立場だ。
国防部は先月30日の定例ブリーフィングで「韓米間の駐韓米軍削減に関する議論は全くない」と明言した。