不完全さが魅力!旅の本質を探る

キム・ダニエル | 2026.04.01

【여책저책】 何もかも不完全だらけのドタバタ旅行記

世の中に完璧で欠点のないものなど存在するだろうか。純金でさえ100%ではなく99.9%と表現される。科学の世界でも、証明は100%や0%で示されることはまれで、たとえば99.8や0.03といった数値で示されることが多い。結局「万が一」がある以上、完璧はあり得ないということだ。

おそらく旅行こそが、あらゆる状況が不完全さに満ちている代表例だ。まず天候がそうだし、航空便の運行状況やホテルのコンディション、食事の当たり外れ、人の応対など、何がどう転ぶか全く予測できない。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

ノルウェー / 写真 = アンスプラッシュ

だから、不完全な旅行こそが旅の魅力だとも言える。여책저책はそうした旅の真価を照らし出す本に出会った。華やかな観光ルートを追うより、人と人との関係や感情、そして予期せぬ出来事から得られる気づきに重心を置いた本だ。

現実の壁や不安にぶつかっても、すぐに動け――というメッセージを伝える。旅行を一度きりの逃避ではなく、人生の本質を探り、日常を強くするプロセスと位置づけるのだ。さらに両書とも、著者自身が描いた絵が随所で目を引く。

강지명作家の『女二人、犬一匹で十分です』と、서굴作家の『서울 안 개구리のヨーロッパ浪漫記』1・2を紹介する。

女二人、犬一匹で十分です

강지명(멍作家) | 다산책방

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

日常のあちこちには、気づかないだけで「ささやかな幸せ」が潜んでいる。ソファに座っていて、ふと爪切りが必要になり、前に使って置いておいたものが目の前にあるのを見つける瞬間や、毎週水曜が定休日の近所のグルメスポットに火曜に行って、「水曜だったら残念だった」とほくそ笑む自分に出会うような瞬間だ。

時に旅行は、そうした小さな幸せを支える役割を果たす。ドイツ在住の著者が友人ジェイミーと愛犬ヌリを連れて北欧をキャンピングカーで巡る『女二人、犬一匹で十分です』の著者・강지名は、ただ一緒にいること自体が十分に満たされる旅と人生を作ると語る。

デンマーク、スウェーデンを経てノルウェーへと続く旅は、華やかな観光ではなくゆっくり「滞在する旅」に近い。彼女たちは有名スポットを矢継ぎ早に消費するのではなく、渓谷に腰を下ろして時間を過ごし、キャンピングカーで休みながら一日を終える。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

一見すると普通だが、少し踏み込めば特別に感じられる旅の記録を著者は『女二人、犬一匹で十分です』にまとめた。彼女たちの旅の目的は「たくさん見ること」ではなく「一緒にいること」そのものだ。生活の速度を少し落としたい時、必ずしも遠くへ行く必要はないと訴える。

目を引くのは、1坪強のキャンピングカーという限られた空間だ。性格の異なる三者が狭い空間で共に過ごすのは決して楽ではない。感性豊かな著者と実用主義の友人ジェイミーは些細なことで衝突し、旅の途中で予想外のトラブルにも直面する。

フリーキャンプ中に追い出されるハプニングや、キャンプ場が見つからず四苦八苦する場面は旅の現実をそのまま映し出す。しかし本書はそうした不完全さを隠さない。むしろ完璧でないからこそ、より大きく笑えたと強調する。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

スウェーデン / 写真 = アンスプラッシュ

高級料理の代わりにスパムとキムチで済ませる瞬間、計画が狂っても一緒に笑い飛ばす場面の連続は、読者によりリアルな旅の実感を与える。旅の中心にはいつも「関係」があると著者は気づく。人生に必要なのは大げさな何かではなく、共にいられる人と存在だ。

狭く不便なキャンピングカーが「楽園」となり得たのはそのためだ。互いを理解し合わせる過程で関係が強まり、その中で本当の幸福が育つ。著者はその様子を本のあちこちに絵として載せている。最初は素っ気なく見える画風も、読み進めるうちに特有の愛嬌がにじみ出て思わず微笑んでしまう。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

本書は旅の後日談まで描く。ドイツへ戻った後、著者は「家」と「家族」の意味を再定義する。集まった存在同士が互いに安らぎをもたらす空間こそが家だと自覚するに至る。旅行は一時的な逃避ではなく、日常をより強くする過程へと広がる。

『女二人、犬一匹で十分です』は派手でも特別でもない旅を描く。代わりに誰もが共感できる日常の瞬間を通じて旅の本質を問い直す作品だ。「先延ばしにするな。欲しいものがあるなら今やれ」というメッセージはシンプルだが強く残る。

本書は結局旅の話だが、同時に人生の細部を扱っている。どこへ行ったかより誰といたかが重要であり、その関係の中で私たちは既に十分に幸せになれることを思い出させる。

서울 안 개구리のヨーロッパ浪漫記 1, 2

서굴(作家名 강서굴) | 북엔드

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

井の中と井の外では視界がまるで違う。井戸に落ちたカエルの話が示すように、井戸の中のカエルにとって外の世界は井戸口から垣間見る断片だけだ。晴れた日は明るく、曇れば灰色に見えるが、その先の現実は想像しにくい。

自分は英語が苦手だと評する30歳の青年がいる。そうした彼が単身でヨーロッパ旅行に出るのは、井の中のカエルが外へ出る挑戦そのものだ。言語に慣れておらず、しかも一人という条件が加わると、その出発点は一層高く感じられる。

こうした現実的な悩みを正面から描いた旅行エッセイが『서울 안 개구리のヨーロッパ浪漫記 1〜2』だ。旅の始まりはいつも恐れと期待が入り混じる瞬間だが、著者서굴(作家名 강서굴)は恐れの方が大きかったと語る。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

それでも、長年心に抱いていたヨーロッパ旅行の夢を実現する過程を、著者は淡々とユーモアを交えて漫画で綴る。著者は釜山出身で、ソウルでの暮らしを「井の中」に例えて話を始める。長く温めてきた夢を現実の壁のせいで先延ばしにしていたが、思いがけない退職をきっかけに人生の舵を見直し、最終的に一人でヨーロッパへ旅立つ決断を下す。

本書は単なる旅行記にとどまらず、「井の外へ出る過程」そのものを細かく描いている。旅の序盤からトラブルに直面する。飛行機の遅延、見知らぬ街での迷子、予期せぬ体調不良、地下鉄での危険な目にも遭う。しかしこれらの出来事こそが旅にリアリティを与え、読者の共感を呼ぶ。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

フランス パリ エッフェル塔 / 写真 = アンスプラッシュ

特に印象的なのは「完璧ではない旅」の価値だ。ロンドンやパリ、イタリアを行き来する中で起きるエピソードは、派手な観光地紹介より「一人でいるときに感じる感情」に重心が置かれている。見知らぬ人との偶然の相席、思いがけない親切、長年の夢だったエッフェル塔前でのスケッチなど、著者は旅の本質を「経験」と「感情」で紐解く。

この作品のもう一つの特徴は、漫画という形式を通じて感情を直感的に伝える点だ。シンプルで親しみやすい画風の中に、期待や恐れ、孤独、達成感が重なり合う。特に一人旅の「小さな胸の高鳴り」を繊細に描き、読者の没入感を高める。

著者は旅を通して単に新しい場所を経験するだけで終わらせない。自己理解を深め、日常に戻った後もその経験が力として残ることを強調する。「一度井戸を出たカエルは、いつでもまた出て行ける」――そのメッセージが本書の核であり、読者への問いでもある。

引用:アンスプラッシュ
引用:アンスプラッシュ

『서울 안 개구리のヨーロッパ浪漫記』は、大掛かりな準備や完璧な条件がなくても旅は始められることを示す。同時に、旅とは外の世界へ向かう動きではなく、自分の内面を探る行為かもしれないという示唆を与える。

旅を夢見るがためらっている人や、既に旅を経験したがその意味を振り返りたい読者にとって、この本は一つの勇気になる。「私にもできるだろうか」という疑問を「一度やってみよう」に変えた瞬間、新しい旅は既に始まっている。

장주영 旅行+ 記者