かつて捨てられた砂の島だった京畿道・加平のジャラ島は、毎年5月になると色とりどりの春の花で彩られる。以前は粗末な草地しかなかった荒地が、今では年間数十万人が訪れる生態観光の拠点へと生まれ変わった。北漢江の青い流れと花のオニゲシの赤い波が溶け合う「ジャラ島春の花フェスタ」が、今年も花見客を迎える準備を整えている。
「ジャラ島春の花フェスタ」の歴史と特徴
ジャラ島春の花フェスタは、自治体が企画した一時的なイベントを超え、地域の痛みを希望に変えた象徴的な祭りだ。数年前までジャラ島南道は常習的な浸水区域と見なされ、有効活用が難しい土地に過ぎなかった。
加平郡はこの遊休地を活用し、2019年から本格的に花の庭を造成し始めた。この祭りは「京畿代表観光祭り」に3年連続で選ばれるほど、内容の質が評価されている。
約11万㎡(約3万3000坪)に及ぶ南道一帯には、オニゲシ、菜の花、矢車菊、ペチュニアなど数万本の春の花が植えられ、壮観を作り出している。特に単なる花の並べ方ではなく、ストーリーテリングを取り入れた庭づくりが核となっている。
6.25戦争時に加平の戦闘に参加した友邦国との友情をたたえる「友情の庭」や、郡のキャラクターを使った「虹の庭」などは、訪れる人々に強い印象を残す。
とりわけ、ジャラ島南道の主役と呼ばれるオニゲシは5月になると島全体を赤く染める。また、一般的な黄色い菜の花とは異なり、紫がかった青菜(紫の菜の花)も目を引く。最近ではMZ世代の間で「紫の花畑」としてSNSで大きな話題になった花だ。
今年の祭りは「青い波の上、華やかな花の航海」をテーマに据え、多彩なプログラムを通じて春の日の記憶を提供する予定だ。
会場の随所に“インスタ映え”するフォトゾーンが設けられ、週末や祝日にはストリートパフォーマンスやバルーンアートが展開される。また、文化観光解説士と巡るヒーリングウォークや多文化体験ブースが運営され、ジャラナル桟橋付近には飲食ブースも並ぶ。
加平レールバイク〜ジャラ島入口〜南道入口区間では電気自動車の無料運行もある。入場時間は午前8時〜午後6時で、入場料7,000ウォン(約700円)を払うと5,000ウォン(約500円)分の加平愛商品券が戻る。加平郡民と5歳以下は無料で入場できる。
この商品券は会場内の農特産物販売ブースや飲食ブース、地域の飲食店やカフェなどで利用できる。さらに入場券を持っていれば、プチフランス、イタリア村、加平レールバイク、ブリッジジップライン、アチムゴヨ樹木園など近隣の観光地13か所で割引を受けられる。
亀に似た島、ジャラ島
加平郡・加平邑・達田里一帯に位置するジャラ島は、島の形が亀に似ていることから名づけられた。しかし、ジャラ島が最初から現在の名前だったわけではない。
1943年に青坪ダムが完成して北漢江の水位が上昇して島が形成された当時、ここでは中国人が島内でスイカやマクワウリを栽培していたため「中国島」と呼ばれていた。その後、1986年に加平郡の地名委員会が現名称のジャラ島を公式名として定め、今日に至る。
ジャラ島は特徴的な地理を持つ。東島、西島、中島、南島の4つの島が連絡橋でつながる形で、全体面積は約66万㎡。近隣のナミ島の約1.5倍の広さに相当する。
各島はそれぞれ明確な個性を持つ。西島にはオートキャンプ場や屋内植物園「イファウォン」があり、キャンプ愛好者の聖地となっている。中島は広い芝生広場を備え、毎年秋に世界的に知られる音楽祭「ジャラ島国際ジャズフェスティバル」の主舞台となる。
春の花祭りの中心である南道は島の最も内側に位置し、北漢江の風情を存分に感じられる場所だ。島全体が自然に形成された生態資源であるため、人工的な建築は最小限にとどめ、木々や花、川の自然に重点を置いている。
ジャラ島は北漢江の水位調整によって時に水没することもあるが、そのおかげで土壌が肥沃になり、花々がより鮮やかな色を見せる土台となっている。
交通アクセスと利用ガイド
ジャラ島へは首都圏から公共交通だけでも十分にアクセスできる。自家用車ならソウル—春川高速道路を経て加平邑へ入るルートだが、祭り期間の渋滞を避けたいなら電車利用が便利だ。
ITX-青春列車を使えば、龍山駅から加平駅まで約1時間、清涼里駅からは40分前後で到着する。
京春線・加平駅で下車すると、ジャラ島入口までは徒歩で約15〜20分。道は平坦で、加平の澄んだ空気を味わいながら散歩感覚で向かえる。
高速バスを使う場合は、東ソウルターミナルや蚕室駅発の広域バスで加平ターミナルまで行き、そこからタクシーや徒歩で向かうのが一般的だ。
ジャラ島の入場は午前8時〜午後6時。夕方のやわらかな灯りの下で花道を歩くロマンも楽しめる。近年はジャラ島とナミ島を結ぶ船の運航も再開され、両島を巡る周遊動線が人気を集めている。
入場前に加平郡の公式サイトや関連アプリで駐車情報や公演スケジュールを確認しておくと、より充実した旅になる。
過去と現在が共存するローカル文化の憩いの場
ジャラ島近くの「音楽駅1939」は、かつて開業した旧加平駅の歴史的象徴性を込めて名づけられた施設だ。
1939年に開通し70年以上にわたって加平の玄関口を務めた旧加平駅は、2010年の京春線複線電化で廃駅となり、その敷地を活用して整備された。
現在は公演場、スタジオ、映画館、散歩道が一体となった加平の新しいランドマークとなっている。国内屈指の録音室と公演施設を備えるエムステーションや、野外広場に置かれた巨大なコントラバスの造形は、ジャズフェスの街らしい力強い印象を残す。
加平郡初の上映館「1939シネマ」もあり、大型のマルチプレックスがない地域住民にとって文化的な拠り所になっている。こぢんまりとした2スクリーンながら、最新作を手頃な価格で観られる。
ジャラ島で目を楽しませた後は、ここで甘美な音楽と洗練された建築美に耳と心を休めることができる。旧線路の路盤を生かした散歩道はジャラ島方面へ続き、歩いていくと京春線の往時を忍ばせる鉄橋などの遊休地にも出会える。
「音楽駅1939」は午前9時〜午後10時に開館している。詳しい情報は公式サイトで確認できる。